【マラソンの最も重要な練習】基礎づくりのためのEペース〜ジャック・ダニエルズ式練習法〜

どうも!
パーソナルトレーナー・アスレティックトレーナーとして培った知識・経験を発信している市民ランナーのジュンです!

ジャック・ダニエルズが考案したVDOTというパフォーマンス数値を計算することで、トレーニングでの練習ペースを設定することができるということを書きました。

VDOTの計算方法や解釈はこちら

VDOTを計算し、Trainingの欄に距離ごとに5種類のペースタイムが出てきたかと思います。
今回はそのうち“Easy(E)ペース”で行うトレーニングについてご紹介します。

Eペーストレーニングの概要

このペースは、無理なく苦痛を伴わない(Easy)ペースになり、強度は59〜74%VO2max(65〜79%HRmax)という比較的低い強度になりますが、非常に高い効果が得られます。

赤枠で囲った部分がEペースになりますので、まずは自分のペースを確認してみてください。

効果

  • 心筋の強化
  • 筋肉の毛細血管の活性化
  • 筋肉での酸素の利用効率の向上

簡単に言うと、心臓が血液を送り出す能力が向上し、その血液が筋肉に行き渡りやすくなり、血液が運んできた酸素を筋肉がエネルギーとして利用しやすくなる、です。

こういった能力は、マラソンのパフォーマンスの最も重要な基礎となります。
マラソンをはじめ陸上競技 長距離種目は筋肉が糖質や脂質などのエネルギー源からできた乳酸に、酸素を 酸化系と呼ばれるエネルギー供給機構から多くのエネルギーを供給されています。
そのため、いかに多くの酸素を筋肉に供給し、その酸素を利用できるかどうかが重要になりますので、その能力を向上させられるEペースでのトレーニングは非常に重要になります。

また、酸素を効率よく利用できると、トレーニング・レースによって疲労しにくくなり、リカバリー(回復)が早くなるなど、練習量を増やしたり、練習強度を上げることにつながったり、ケガの予防にもなります。
私はマラソンランナーにとって、最も重要な練習だと考えています。

方法

基本的に楽に走ることができるペースとなります。練習のパターンとしては以下のようなものがあります。

LSD(ロング・スロー・ディスタンス:ロング走)

その名の通り、長い距離をゆっくり走る練習です。
どのくらいの距離かどうかは、個人差があるかと思いますが、ジャック・ダニエルズは30分以上、2時間半未満と書いています。また3時間半の練習はフルマラソンまでの距離のランナーにとって、トレーニング効果は非常に少ない(疲労や怪我のリスクも高くなる)と書いています。

何より重要なのは、Eペーストレーニングの効果は、強度(スピード)ではなく、時間によって決まるということです。
要するに、速いスピードで行うと上記のような効果は得られにくく、より長い時間行うこと、それが可能なペースで行うことで効果が得られます

ランニング初心者の方はまずはこのトレーニングから始めるべきですし、中級者以上でも割合は多くなるべきトレーニングだと考えています。

特に、レースに向けたトレーニング計画の中では一番最初に持ってくるべきだと思います。

高強度練習の間のつなぎ、リカバリー

TペースやIペースで行うような高強度の練習を、2日以上続けて行うのは、疲労を考えるとなかなか難しいものです。

そこで、1~3日程度空けるときに、このEペースで30分から1時間程度のトレーニングを入れると、疲労もとれ、なおかつ上記の効果も得られることから効率的な練習を行うことができます。

疲労具合に応じて、時間を変えてみたり、ペースをより遅くしてみたり、といろいろとコントロールをしていただければと思います。

ウォーミングアップ

練習前のジョギングに用いることができます。ウォーミングアップに用いることで上記のような効果はありませんが、体温上昇・筋活動の活性化というウォーミングアップの目的に適していると考えられます。
だいたい15分程度が適切な時間になると思います。

クーリングダウン

効果・目的は血液配分の正常化や疲労物質の除去となりますが、翌日以降の練習のために非常に重要です。
10分〜15分程度行い、ストレッチなどの身体のケアを入れれば、疲労回復につながると思います。

私の練習への取り入れ方

週間・月間走行距離の半分近くは占めていると思いますし、時にはこのペースでの練習しかしていないこともあります。(シーズンオフ、リカバリーなど)
多くは高強度のTペースやIペースの練習の間の低強度の日に行うことが多く、5〜20km程度で行うことが多いです。

以前は、少し速いMペースくらいで距離を走ることや、Tペース・Iペースのトレーニングを重視して行なっていましたが、週間走行距離も短かったですし、なかなか結果に結びついていませんでした。
そこで通勤ランを始め、そこでEペースのジョギングを取り入れるようになったり、今まで高強度の練習をしていた日に20km以上のランなども取り入れるようになると、一気にマラソンのタイムが向上しました。

他にも高強度の練習や、レース前のウォーミングアップ・クールダウンにも取り入れています。

クールダウンは10~15分と上に書きましたが、時間があるときに40分くらい、Eペースより遅いペースでのランニングを取り入れたところ、翌日の疲労が非常に少なかったという経験もあります。

これらの経験からも、基礎作り・リカバリー(疲労回復)といった目的で、非常に重要視しています。

特に、疲労がたまりやすくて練習が思うようにできない方、レース終盤でのペースダウンが激しい方には、割合を増やすことをオススメする練習法です!

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