どうも!
パーソナルトレーナー・アスレティックトレーナーとして培った知識・経験を発信している市民ランナーのジュンです!
ジャック・ダニエルズが考案したVDOTというパフォーマンス数値を計算することで、トレーニングでの練習ペースを設定することができるということを書きました。
VDOTの計算方法や解釈はこちら
VDOTを計算し、Trainingの欄に距離ごとに5種類のペースタイムが出てきたかと思います。
今回はそのうち“Marathon(M)ペース”で行うトレーニングについてご紹介します。
Mペーストレーニングの概要
このペースは、VDOTに応じたフルマラソンの予想タイムの平均ペースとなります。Eペースに比べると、強度は上がります。
赤枠で囲った部分がMペースになりますので、まずはご自分のペースを確認してみてください。
効果
生理学的なトレーニング効果はEペースと変わりません(Eペースの効果はこちら)。トレーニング時間が短くなることを考慮すると、Eペースと同様の効果を期待するのは難しいかもしれません。
では、Mペースでの練習の意味は何なのか?
それは「レースペースとそのフォームに慣れる」という効果です。
レースになると多くのランナーと一緒に走ることになり、なかなか自分のペースを守ることは難しくなります。さらにレースの緊張感や興奮から、前半のペースが速くなりすぎて後半にペースダウンしてしまうといった経験がある方も多いと思います。
できるだけそういった状況にならないように、「レースペースを身体に覚えさせる」ことがこのMペースで練習を行うことの目的です。
また、Eペースのランニングは遅いため、Mペースと違ったフォームで走ることになりがちです。
マラソンを目標にするのであれば、そのマラソンで走るフォームでの練習はしなければなりませんので、「Mペースのフォームを身体に覚えさせる」といった目的もあります。
方法
基本的にEペースより強度が高くなりますので、方法も変わってきます。
また、レースに近い形になることにより、ウェアやシューズの選択、水分や糖質補給の種類や量・タイミング、などを試すこともできる機会にすることもできます。
マラソンペース走
ジャック・ダニエルズは90〜150分間、25kmを越えない程度の距離をMペースで走る練習と書いています。
中距離選手は40~60分間とも書いていますので、市民ランナーであればそれくらいの時間、体力レベルによってはもっと短くても良いかもしれません。
このMペースでのランニングは、Eペースよりも速く、Tペースよりも遅い、気持ちよく走ることができ、疲労度もそれほど高くないペースです。
例えば、高強度の練習の間の日でもコンディションが良い場合は、EペースではなくMペースでつなぐといった方法が考えられます。
そうすれば、遅すぎるEペースでフォームを乱すこともなくなりますので、怪我のリスクも減らすことができます。
初心者であれば、このペースで走ることができる距離を伸ばしていくことで、トレーニングの効果を実感することができると思います。
ビルドアップ走
レースに向けて、しっかりトレーニングを行えてきたときの、より実戦的な練習です。
ジャック・ダニエルズは2時間走もしくは32km走で早く終わる方と書いています。
- 自分のVDOTより3~4ポイント低いMペースでスタート
- 20~30分おき(5~7kmおき)にペースを上げる
- 最後は自分のVDOTのMペースにする
私は厳密にはこの通りではなく、32km走を5kmおきにペースアップし、25~30kmをMペース付近、ラスト2kmは全力走というプロトコルで行っています。
このあたりのアレンジは自由だと考えています。
このトレーニングは「レース後半のMペースの感覚」を実感するために行います。
前半のペースが抑えられているので、疲労は少ないのではと思いますが、少し遅いペースでもエネルギー源の枯渇、体温上昇などは起こりますので、身体は疲労状態になりますので、Mペースを維持することは難しくなります。
レース本番も必ずそういった状況に陥りますので、練習で体感しておくことは非常に重要になります。
私の練習への取り入れ方
ほとんど、上記に書いた通りの用い方をしていますが、私はあまり行わない練習かもしれません。
32km走は多くても年に2回です。(ピークを持っていくレースが少ないのもあるかもしれません)
Mペース走よりもEペースでのLSDを重視しています。
また、つなぎで行う場合も、TペースやIペースをしっかり走りたいので、MペースよりEペースを重視して疲労回復に努めることが多いです。
つなぎというよりは、ポイント練習ができなかった場合に、3日くらいMペースを入れて、体力的な維持を図るといった使い方が多いかもしれません。
注意点
VDOTから算出されるMペースはあくまでその予測タイムのものですので、皆さんの目標タイムとは異なるかもしれません。
目標タイムのほうが遅い場合、そのタイムの平均ペースをMペースとしても良いかもしれません。
しかし、逆に目標タイムのほうが速い場合は少し注意が必要です。
特に目標ペースがTペースに近くなっているようですと、目標が高すぎる可能性があります。
そのペースで練習しても良いかもしれませんが、強度は高くなっているので疲労や怪我には注意が必要です。
まずは現在のVDOTのペースでの練習を行い、フルマラソンでなくても構わないので、10キロやハーフマラソンで目標タイムに相当するVDOTまで高めていけるように実力をつけていくことが1番の近道かもしれません。
VDOTをもとに、適切な目標を立てつつ、レースペースを身体に覚えさせていくことで、レース中も冷静に自分のペースを守ることができるようになるはずです!